クロの包丁
【開発ストーリー】

クロの包丁【開発ストーリー】
たくさんの方に喜んでもらえる包丁をつくるのは、remy立ち上げ当初からの夢でした。包丁は、フライパンと並ぶ、料理に欠かせない道具のひとつですからね。包丁づくりの長い道のりは、「クロの包丁」として実を結びましたが、過去には、性質の違うコーティング包丁の開発に取り組んでいたこともありました。

切れ味が自己再生する包丁

それは、切れ味が落ちないコーティングを施した包丁です。以下、簡単に原理を説明します。包丁の刃先は、顕微鏡で見ると細かいノコギリ状になっているのですが、使っていくうちに摩耗して平らになります。平らになると切れ味が落ちるので、包丁を研いでノコギリ刃を再生させます。この「摩耗して、研ぐ」というループを不要にしたのが、某航空宇宙技術メーカーがもつ“超硬質粒子コーティング”でした。
クロの包丁【開発ストーリー】
コーティングを包丁の片面に施すと、その反対側は、普通の包丁と同様、使っているうちに摩耗していきます。しかし、コーティング側の硬質粒子はいつまでも刃先に残るので、刃の先端はいつもノコギリ状に保たれます。使っても使っても新しい粒子(=ノコギリ)があらわれ続けるので、切れ味が落ちないというワケです。
クロの包丁【開発ストーリー】
2014 年の春に完成した試作モデルは、試験機によって驚異的な切れ味の耐久性が実証されました。しかし、製造の難易度は極めて高く、どうしても販売時の価格が高騰してしまうという難点がありました。作っていただく職人さんや、使っていただく皆さまに不親切な包丁をつくるわけにはいきません。切れ味の再生する包丁の開発は、断念する結果となりました。

新しい挑戦

包丁の開発はゼロベースに戻りましたが、コーティングがもつ大きな可能性は、包丁開発における大きなヒントとして残りました。どんなコーティングを施せば、包丁はもっと便利になるんだろう?その答えを探るべく、わたしたちは「いい包丁とは何か?」をイチから考え直すことにしました。
クロの包丁【開発ストーリー】
その内容は、記事「包丁の選び方」に掲載していますが、わたしたちは、以下の5つを満たす包丁を「いい包丁」と定義しました。

1. オールマイティに使えること
2. 切れ味が良いこと
3. 切れ味が長持ちすること
4. 手入れがし易いこと
5. 刃離れが良いこと

そして、フッ素コーティングをある特殊な方法で施すことで、それら多くを高いレベルでクリアできることを見つけたのです。
クロの包丁【開発ストーリー】

切れ味を良くするのは「刃」だけじゃない

摩擦抵抗を極限まで抑えたコーティングを施せば、汚れがつきにくく、食材の刃離れが良くなる、というのは皆さんもイメージしやすいかと思います。実はわたしたちも当初、コーティングは「手入れのし易さ」と「刃離れ性」を良くするためのものとして採用を検討していました。しかし、試作品が完成した時に体感した “スッと食材に入る滑らかな切れ味” は、刃先だけでなく、刃身(=コーティング)の影響が大きいということが分かったのです。
クロの包丁【開発ストーリー】

職人の意地

これはすごい包丁になりそうだ!ということで、岐阜県関市で長年包丁づくりに勤むヤクセルと共に商品化を進めました。しかし、決してコーティングに甘えることなく、徹底的に刃先の品質にこだわり抜く姿勢は、さすが関市の職人魂。職人たちは、「コーティングなしでも闘える一流の包丁を!」という高い志でプロジェクトと向き合い、結果として、コーティングがなくても高級包丁と肩を並べられる高品質の包丁が生まれました。(写真は、試験紙を使った切れ味の持続性テストの様子。)
クロの包丁【開発ストーリー】

柴田文江さんの美しいデザイン

黒い刃をもつ珍しい包丁を、いかに家庭に馴染む美しいデザインとして仕上げるかも、商品開発における大切なポイントでした。わたしたちは、「レミパンプラス」のデザイナーでもある柴田文江さんに協力を仰ぎ、デザイン化をスタート。刃のカーブや、軽さ、握りやすさなどは、平野レミが都度チェックしながら、最終デザインに辿り着きました。商品自体はもちろん、それを包む美しいパッケージも、クロの包丁の魅力のひとつです。
クロの包丁【開発ストーリー】

新しいラインナップも

「サイズ違いの包丁や、便利なまな板も作って欲しい」これらは、クロの包丁のユーザーさんからよく頂戴するリクエストです。開発には時間がかかりますが、皆さんのご要望にひとつひとつ応えていくのが、remyの商品開発のモットー。“切れ味のいい” アイデアで、ラインナップの拡充に取り組んでいきたいと思います。今後の展開にも、ぜひ注目していてくださいね。
商品ページへ戻る