「佐渡藻塩」のお話

「佐渡藻塩」のお話
茶色く、しっとりとした触感が特徴の「佐渡藻塩」は、新潟県佐渡島の塩工房「佐渡風塩釜」で製造されています。夕焼けの名勝地「七浦海岸」の海水と、3種類の海藻(長藻、玉藻、あらめ)を3日間一緒に炊き上げて作るこの塩は、まさに佐渡の恵みが凝縮された結晶。まろやかでほのかな甘みは、佐渡藻塩ならではの味わいです。

塩害に立ち向かう

海から吹き上げてくる潮風に、建物や車は痛み、老朽化する一方。この塩でなにかできないだろうか・・・。「佐渡風塩釜」さんの塩作りのきっかけは、そんな、塩害を逆手にとった発想でした。そして、約1200前から伝わる製塩技術を復活させ、昔ながらの製法で塩作りを始めたのです。
「佐渡藻塩」のお話

15時間愛情込めて

佐渡藻塩は、夕日の名勝地で知られる「七浦海岸」の夫婦岩付近の海水と、1〜4月に採れる3種類の海藻(長藻、玉藻、あらめ)から作られています。晴天がつづき、海が澄んだ日を見計らって、ミネラル分が非常に多く含まれる、水深3〜5mの表層水だけを選りすぐってポンプで汲み上げます。
「佐渡藻塩」のお話
汲み上げた海水と海藻は、薪で炊き上げてゆっくり煮詰めていきます。この煮詰める作業の間、20分に1度、ザルと布でろ過し、ゴミや不純物などを丁寧に取りのぞいていきます。「何度もこす作業を地道に続けることで、きれいな塩ができる。結晶の形や大きさにまでこだわることで、味だけでなく食感も変わる。体は塩まみれになるが、満足できる塩ができた時は本当にうれしい」職人の杉山さんはそう語ります。
「佐渡藻塩」のお話
また、煮詰めている間は、長年の感覚を頼りに釜に薪をくべ、微妙な火加減を調節します。薪を炊き始めて約15時間後、綺麗な結晶ができあがります。その後、にがりである水分を完全に切るために、1〜2日間乾燥させ、ようやく佐渡藻塩が完成します。1トンの海水からできる塩の量は、10〜12kg。なんとも気が遠くなるような作業です。
「佐渡藻塩」のお話
「手間も時間もかかるが、佐渡の海水だけを使った、安心できる塩を食べてもらいたい」佐渡藻塩には、そんな想いが込められています。
写真協力:さど観光協会