【煮物対決】
レミパン vs 鋳物ホウロウ鍋
「煮物をつくるのが得意な鍋は、ホウロウ鍋だよね」というのは、多くの方が抱いているイメージです。でも、「それってどうして?」に答えられる方は、あまり多くありません。
調理道具に詳しい専門家によると、「鋳物ホウロウ鍋は、熱がゆっくり伝わり、ゆっくり冷めていくから、その過程で旨みが増す」のだそうですが、その科学的な根拠があるわけではないとのこと。
世界初の味覚調査
だったら自分たちで調べるしかない!ということでremyは、慶應義塾大学発のベンチャー企業、AISSYさんに協力を仰ぎ、同社が誇る最先端の味覚センサー「レオ」を使って、レミパンと鋳物ホウロウ鍋の煮物対決を実施しました。
レミパンを比較対象としたのは、鋳物ホウロウ鍋とは真逆の性質(熱が素早く伝わる)をもっているため。この実験は、味覚調査の第一人者であり、AISSYの創業者、慶應義塾大学理工学部共同研究員の鈴木隆一先生の立ち会いの下で行われました。
5つの煮物で味比べ
味比べをした料理は、ふろふき大根、肉じゃが、カレー、豚の角煮、クリームシチューの5品。これらを、レミパンと鋳物ホウロウ鍋を使って調理し、5味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)にどのような違いが表れるか検証しました(栄養士が、同一の食材/レシピで調理し、調理直後と60分後、ふたつの時点で5味を計測)。食材の切り方や煮込み時間によって味の違いが生じるので、慎重に慎重に準備を進めます。
完成した料理は、すぐに鈴木先生の手に渡り、特殊な液体と合わせられます。そこから染み出た液体をスポイトで抽出し、味覚センサーにセット。そして、5味を計測。実験では、この一連の作業が繰り返し行われました。
人間の舌でも味比べ
実験現場には、平野レミと和田明日香も参加。関係スタッフや鈴木先生も食卓に集まり、時おり人間の舌でも味比べをするという場面も。
「こっちの方がコクがある!」「いや、わたしはこっちの方が美味しいと思う!」「まったく同じ味!」といった具合で、スタッフの意見はみなバラバラ。結局、人間の舌では味の見分けをつけることはできませんでした。
味の差はない?!
味覚センサーによる分析結果があがってきたのは、実験から3日後のこと。レポートには、何やら細かい数値がたくさん・・・。鈴木先生いわく、人間が感じられる味の差は、“数値に0.2以上の差があった場合”だそうなのですが、この差が見られたのは、カレーのみ。カレーの旨みとコクについては、レミパンの方が上、という結果でした。※これは煮込み中の水分蒸発量の違い(レミパンは蒸気穴から蒸気を逃す)で、鍋の素材の違いから生まれる差異ではないようです。
結論としては、「調理直後も、1時間後も、レミパンと鋳物ホウロウ鍋で、味の差はみられない」というものでした。おでんや煮物づくりには必ず鋳物ホウロウ鍋を使っていたスタッフにとっては、ちょっと驚きの結果に。
素材の違いは、スタイルの違い
味や美味しさについては、人間が感じる差はありませんでしたが、鋳物ホウロウ鍋は冷めにくいので、そのまま食卓に出した時、長い間アツアツ料理が楽しめる歓びがあります。一方、鋳物ホウロウ鍋はとても重く、手軽さや洗い易さを重視したい方にとっては、アルミ鍋が重宝します。調理器具は、やはり使う方のライフスタイルに応じて選ぶのが一番かもしれませんね。
味覚センサーの可能性
「味覚センサー・レオは、味比較はもちろん、食品開発やメニュー開発の現場でも活躍します」と語る鈴木先生。センサーを使えば、食品同士の相性度についても可視化できるとのこと。例えば、赤ワインにはステーキが合う理由も、科学的に説明できるんだそうですよ(詳しくはコチラ)。「私のベロのセンサーには敵わない」と豪語する平野レミと、対決する日も近い?!