わたしのしじみ格闘記

わたしのしじみ格闘記
わたしのオリジナルレシピに、お酒のお供にピッタリの「ほろ酔いしじみ」というのがあります。レシピのコーナーに作り方を紹介していますが、ここでは、この料理を作った時のお話をします。
あの味を再現したい。
台湾料理のお店にいくと、よく「しじみのしょうゆ漬け」を出しているところがありますが、これがビールや紹興酒のおつまみとして最高においしいんです。しじみから出るエキスがお醤油と混ざり合い、しじみ本体をおいしくしているようです。
あの味を再現したい。
「生のしじみにお醤油と紹興酒を飲ませれば、きっとあの味になる」と思い、さっそくしじみを買ってきて、お醤油と紹興酒を混ぜて、その中につけました。ところが、しじみたちはぐっと口を結んだまま。お酒を飲むどころじゃないんです。これではいけない、何とか口を開けさせなければなりません。
しじみとの格闘
口を開かせるために、熱湯をかけたり、フライパンでから炒りしたり、電子レンジにかけたり、いろいろ試してみました。でも、しじみが煮えてかたくなったり、エキスが出払ってしまったり、なかなか納得のいく味にはなりませんでした。
次に、しじみをだまそうと思いました。水をはったボウルにしじみを入れ、水の中にいるんだよと安心させておいて、しじみが気がつかないように熱湯を少しずつ、たらーり、たらーりと流し込んでいきました。
そうすると、変だ!と思って口を開くしじみもいます。でも、これではお湯の中にエキスが流れ出てしまう。エキスを残したまま、しじみが一斉に口を半開きにする方法を見つけなければなりません。
怪我の功名
今度は冷凍庫に入れてみました。あんまり寒いのでしじみがビックリして、アッと口を開くと思ったのですが、駄目。余計にしっかり口を結んでしまいました。
このまま放っておくのももったいないから、おみそ汁にしようと、冷凍庫から出しておきました。そして、20分くらいが経ったそのとき。ふとしじみを見ると、なんと、全員が口を開けているんです。

大きい子も小さい子も一斉に同じくらい「え?」という感じで開いている。今まで冬眠していたのに、急にあったかくなって目が覚めて「え?何だろう」「どうしちゃったの?」「あら春だわ」と言ってるみたいに、嬉しそうに口を開けていました。
怪我の功名
私は急いで紹興酒とおしょうゆをしじみたちのいるボウルにどぼどぼっと入れました。しじみたちは「え?」と口を開けたままお酒とおしょうゆにつかり、エキスを保ったまま、1時間後には、私が思っていた絶品の味になってくれたのです。しじみが目が覚めたように思えたので、当時、このレシピに「しじみの冬眠」という名前をつけました。
研究の成果を皆さんに
その後も、しじみを上手に酔っぱらわせる研究は続き、最終的には、冷凍庫ではなくて、60度のお湯につけるという、もっと簡単な方法にたどりつきました。しじみに対する思い入れは強く、その後うちにやってきた猫にも、柄が似ていたので「シジミ」と名前をつけたほどです。

そんな、しじみレシピの最終形は、コチラのページにのっているので、見るだけ、読むだけじゃなく、ぜひ作ってもらえると嬉しいです。お酒が好きな方には、たまらない一品ですよ。