はじめのご挨拶
おいしい話があるんです
Remyのホームページにお越しいただき、どうもありがとうございます。ここにいらっしゃったということは、フェイスブックやツイッターがキッカケでしょうか。よく考えると、不思議なものです。少し前まで、わたしから皆さんに料理のお話をするには、テレビや書籍、講演会などを通す必要がありました。でも今は、インターネットにレシピをちゃちゃっと投稿して、リアルタイムで皆さんからの反応をいただけます。「レミまた下ネタか!」「分量わかんねーよ!」なんて予想外のつっこみを入れられて慌てたりもします。
インターネットで伝わりにくいこと
インターネット上でレシピを紹介して欲しいというお仕事も増えました。でもインターネットのお仕事は、レシピが生まれた背景だったり、食材の身の上話、作り方のニュアンスといった “無駄話” が伝えにくいので、難しい面もあります。料理って、その周辺にあるお話や気分も含めて、おいしいんですよね。
たとえば、我が家のステーキはわたしのお母さんから教わったもので、その味は天下一品です。 私がまだ学生の頃、「どうして片面だけ塩コショウするの?」って聞いたら、「塩コショウしてない面を先に焼くと、肉が片面キレイな状態でいられるから」って言ってました。1枚焼いたあとは、フライパンをきれいに洗い、次に焼く肉の片面をいつもきれいな状態に保ちます。お父さんの来客が大勢来た時も、めんどくさがらずに、一回一回同じ事をしていました。それは、食べてくれる人への愛情なんだとか。それを感じて食べるステーキだから、格別においしい。 いつの時代も、「うれしい」っていうのは最高の調味料だと思います。
「おもしろい」も隠し味
わたしの手抜き料理第一号「台満(たいまん) 餃子」なんかもそう。ある日うちで水餃子パーティーをやろうとしてた日がありました。でも、仕事の帰りが遅くなり、餃子の具をひとつずつ包む時間がなかったから、餃子の具を丸ごとでっかいハンバーグ状にしてチンしました。その上に茹でた餃子の皮をトロトローンってかぶせ、香菜と醤油と酢とラー油をかけて出来上がり。最初はみんな「なんだ、これは?」って驚いたけど、「食べれば水餃子と同じ味だ!」って大喜び。ひとつのお皿からみんなで取り分ける愉しさも加わって、普通の水餃子パーティーをするより、おいしいおいしいって言ってもらえました。そこにはきっと、「おもしろい」という隠し味がきいていたんですね。
おいしい話をお裾分け
健康についてもそう。食育についてもそう。料理は、舌だけじゃなく、心を使って味わうのがいいと思います。「うれしい」や「たのしい」が、料理をもっとおいしくしてくれますから。 料理の仕事をはじめてもう30年。色々な経験をさせていただきました。この機会に、私が知っている “おいしい話” を、少しずつお裾わけしていきたいと思います。
ツイッターでは、「生きる放送事故」なんて言われてからかわれますが、ホームページなら何やっても安心ですね。絶品レシピや、それにまつわるオモシロ話、そしていずれはキッチンをもっと楽しくする道具なんかを紹介していきたいと思います。皆さんに、料理の楽しさ、キッチンに立つ喜びを、もっともっと知ってもらえたら、わたしはしあわせです。