食の力と連想ゲーム

食の力と連想ゲーム
セロリをじーっと見ていてわかることなんて、せいぜい、茎にスジがたくさんあることくらい。どんな栄養があるのかなんて、食べてみたところでわかりっこありません。でも、毎日家族にごはんを食べさせる者として、栄養のことくらいちゃんとわかっておかなくちゃと、食育の勉強をしてみたわけですが・・・難しい栄養素の名前なんか、覚えたそばから忘れてしまうのです。そこでわたしは、最低限頭に入れておきたいことは、ある光景を思い浮かべながら覚えることにしました。
食材の力を“連想”する
たとえば青魚。青魚は、食べると血液をサラサラにしてくれるのですが、その理由は「青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のDHAやEPAが、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす」から。でも、理屈で考えるより、魚が波の間をサラサラと泳いでいる光景をイメージする方が、覚えやすい。青魚がすがすがしく泳ぐ力が、そのままわたしの血に活きてくるようで、食べていても気分がいいものです。
食材の力を“連想”する
他にも、根菜を食べると体があたたまるのは、ふかふかの土の布団で野菜が温められてきたから。海藻が便秘に効くのは、海藻のモップが腸の汚れをゴシゴシこすりとってくれるから。梅干しに強い抗菌・殺菌作用があるのは、すっぱいものを食べると口がすぼむように、体の中の菌がすぼんで小さくなるから。オクラや里芋が免疫力を高めるのは、ヌルヌル成分が胃腸の粘膜を強化して、ウイルスが滑ってはじかれるから。などなど、もはや連想ゲームの世界です。

テストで丸はもらえないかもしれませんが、こうした光景を思い浮かべることで、食材選びや、献立を考えるときの楽しみが増えるんです。また、「栄養があるから食べなきゃいけない」という義務感ではなく、「食べると食材の力を体に活かせる」という前向きな思考にもなれます。そして、この“連想ゲーム”は、子どもたちにもよく効きます。頭ごなしの「食べなさい!」は、言う方も言われる方も嫌な気分になりますが、食材の力を物語として伝えると、子どもたちも「それなら食べた方が良さそうだ」と、納得して食べてくれます。
気持ちから健康に
最近、ヨガを始めたのですが、ポーズや動きがまだまだ様にならない中、嬉しい気付きがありました。体を動かすときに、動かしたい部分に意識を送ると、限界だと思っていた以上に体が動いてくれるのです。数センチ先に手が伸びたり、足が上がったり。意識が届いて体が反応した瞬間は、なんとも言えない気持ちよさです。

それと同じことが、食べることにも言えるような気がします。病は気からと言いますが、健康もまた、気から。「プラシーボ効果」といって、薬の効能そのものより、それを期待する気持ちの方が、体に良い働きをもたらす、という研究結果もあるようですが、日頃の食生活の中でも、食べものが体の中でどう働くのかを意識しながら食べると、じわじわと効いてくる感じがします。食事のチャンスは、1日3回やってきます。空腹を満たすためだけに食料をお腹に入れるなんて、もったいない。少しでもプラスのイメージを想像しながら、気持ちから健康になれる食事を積み重ねたいものです。
気持ちから健康に
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