物語のあるごはん。映画「シェフ」より。
ソニー・ピクチャーズさんにお声がけいただき、映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」の試写会に行ってきました。一流シェフからフードトラックの親父へ転身した男のストーリーを、ロードムービータッチで描いたこの作品。試写会が終わると、居ても立ってもいられなくなって、さっそく、映画に登場するサンドイッチを作ってみました。
いつもの食卓で、非日常を味わう
いつもの食卓で、非日常を味わう
アツアツ、ジューシーなキューバサンド。外はバターでこんがりカリカリ。中はハムとポークとトロトロのチーズ。ピクルスの酸味とマスタードマヨネーズがからみ合って、クセになる美味しさです。サンドイッチを作っているときも、食べているときも、つい映画の世界に入り込んでしまうので、食卓にいながら、ちょっとした非日常を味わうことができます。
料理で変わる人生ドラマ
ストーリーのあらすじを簡単に。LAの一流レストランの料理長であるカール・キャスパーは、ある出来事をキッカケに、仕事と家族、両方の問題に直面する。しかし、ひょんなことから絶品のキューバサンドイッチと出合い、プライドを捨てて、フードトラックでキューバサンドの移動販売を始める。そんな、中年シェフの転身ストーリーをユーモアたっぷりに描いた映画です。主人公は、プロデューサーと監督もつとめる、ジョン・ファヴロー。共演は、『アイアンマン』シリーズでファブローと一緒に活躍した、スカーレット・ヨハンソンとロバート・ダウニー・Jr。
映画の評論は専門家にお任せするとして、キッチンに立つ楽しさや、料理をする醍醐味が、美しい映像と共にいきいきと伝わってくるので、お料理好きの方にも、そうでない方にも、ぜひオススメしたい映画です。
料理で変わる人生ドラマ
物語のあるごはんを
ヒトは生きていると、ひとつかふたつ、「忘れられない味」に出合うようです。以前、平野レミが「忘れられない和田さんのポトフ」というコラムを書きましたが、忘れられない味とは、“忘れられない物語の中の味”と言い換えることができそうです。キューバサンドが、いつの間にか我が家の朝食にローテーション入りしたのも、味覚だけじゃなく、物語と一緒に味わっているからだと思います。こういう料理があると、毎日が少し、楽しくなります。
物語のあるごはんを
そんな「物語のある味」は、意図して出合えるものではありません。でも、いま目の前にあるゴハンに、物語をつけてあげることはできます。季節のこと。風土のこと。生産者のこと。そして、料理をつくってくれた人のこと。少し思いを巡らせてあげるだけで、そこには映画のようなストーリーが隠されていることもあります。舌だけでなく、心を使って味わうごはん。食に溢れた、飽食の時代を生きる私たちにとって、そんなゴハンとの付き合い方が増えるといいな、と思います。

※ご紹介した映画は、2月28日公開です。ぜひ映画館でお楽しみください。
公式サイト:http://chef-movie.jp/