わたしが知ってる、もうひとりのレミさん。

わたしが知ってる、もうひとりのレミさん。
明日香です。先日はじめて、レミさんと一緒にテレビ番組に出演しました。厳密に言うと、スタジオ出演したのはわたしだけ。レミさんは、別の仕事でスタジオ収録には行けなかったので、VTR内のみの出演でした。レミさん登場のシーンになると、スタジオは大盛り上がり。オンエアを見た友人からも、「面白いお義母さんをもって良かったね」と言われますが、わたしが抱いているレミさんの印象は、少しだけ違います。自由奔放な性格は見ての通りですが、料理のこととなると、呆れるくらいに真面目なんです。
キッチンは、実験室
レミさんは、「料理研究家」という言葉を避け、「料理愛好家」という肩書きで仕事をしています。でも、私から言わせれば、キッチンに立つレミさんの姿は「研究家」そのものです。たとえば、レミさんのキッチンでよく見かける、なぐり書きのメモ。それらのほとんどが、材料や調味料の分量が書かれたものです。読めるのもあれば、まったく字には見えないのもあります。「レミさんこれ、新しいレシピですか?なにが書いてあるんだろう」なんて聞いてみると、「ちょっと実験してたらおいしいのができたんだけど、急いで書いたから読めないね~、なんだったかな~、おいしかったんだけどな~、ちょっと待って。作ってみる!」と、居ても立ってもいられない様子で、いきなり料理が始まります。レミさんのキッチンは、いつも実験室みたいです。(写真は、レミさんの家によくころがっている手紙のメモ)
キッチンは、実験室
飽くなき探究心から生まれるレシピ
レミさんのレシピは、一見おおざっぱに見えますが、調理の手順は、何度も実験して導いた最も効率の良い方法だし、調味料の分量も、繊細に味付けを変えながら決められた、ベストな調合です。ようやく完成したレシピも、もっともっと簡単に、おいしく改良できないか、試行錯誤を続けます。「レミさんもう十分おいしいから味を変えないで」って思うこともあるほど。

外食のときは、舌を研ぎ澄ませて味の分析をして、シェフに質問をぶつけます。レシピや隠し味を教えてくれる親切なシェフもいますが、「企業秘密です」と教えてくれないシェフもいます。そうなると、次の日キッチンは実験室に変わります。「昨日食べたやつより美味しく出来た!」その味にたどり着くまで、実験は続くのです。こうした試行錯誤を重ねる中で生まれたオリジナルレシピも多いんだとか。個性溢れるレミさんレシピは、こうして生まれます。
飽くなき探究心から生まれるレシピ
シェフよりシュフのお料理
春先になると、レミさんが山菜を天ぷらにして食べさせてくれるのを、私は毎年たのしみにしています。そんな私は、どうも揚げ物をつくるのが苦手です。油からあげるタイミングがいまいちつかめず、ずっと鍋とにらめっこになり、じっと見過ぎて変化が分からず、結局いつも揚げ過ぎてしまいます。レミさんが山菜を揚げているとき、ふとそんな話をしました。「大丈夫、だんだん慣れてくるから!」と笑い飛ばされるかと思ったら、「そうか、新鮮な悩みね。そうゆうのは私も勉強になるね。油の音が変わるから、耳でそろそろだなって判断してるんだけど。難しいね。困ったな。よし、わかりやすいやり方を見つけてみるね。」それからしばらく、ああでもないこうでもないと言いながら、山菜を揚げ続けてくれました。お料理を、人に分かりやすく、簡単に伝え、おいしいと喜んでもらうことに、レミさんはいつも一生懸命です。
シェフよりシュフのお料理
「お金と時間をかけてでも、おいしい料理を作るのがシェフの仕事。お金と時間をかけないで、おいしい料理をつくるのシュフの仕事。」レミさんはそう言います。その言葉どおり、レミさんのレシピは簡単でおいしいのですが、それでもやっぱり、いつも楽しそうに料理をするところが、レミさんのごはんがおいしい一番のポイントのような気がします。レミさん風に言うと、「笑顔も調味料」といったところでしょうか。