おふくろの味と、よめの味

おふくろの味と、よめの味
「うちの嫁はキャベツとレタスの違いもわからなかったのよ〜」と、レミさんはわたしのことを色んな所でネタにしてくれます。そんな嫁姑ネタが珍しいからか、レミさんとコンビでお仕事をいただくことがよくあります。
レミさんとの初対面
思い返せば、わたしが初めてレミさんに会った時、レミさんはちょうど香菜を刻んでいました。「わたしさ、香菜は鼻につっこんで歩きたいぐらい好きなの。」と言いながら、ものすごい早さと荒さで香菜をぶった切ってボウルに放り込み、お醤油をドボドボ注いで、「できた!おしまい!」と叫んでいました。当時わたしはまったく料理ができなかったので、「料理ってこれでいいんだ・・・」と、勇気がわいたのを覚えています。(その時レミさんが作っていたのは香菜醤油。レシピはこちら
レミさんとの初対面
それ以来、レミさんから料理を楽しむ術をたくさん教わりました。口の中で帳尻が合えば見た目はどうだっていいとか、味や安全を妥協しなければどんどん手抜きしていいとか。後に、食育インストラクターの資格も取りましたが、教科書には書いてない大切な何かを、レミさんからたくさん学ばせてもらった気がします。
男性の7割以上が選ぶ、おふくろの味
嫁姑といえば、料理に関するこんなデータがあります。首都圏・関西在住の20歳〜37歳の男性を対象にした調査で、「母親の料理と、妻または彼女の料理、どちらが美味しいと思いますか?」と聞いたところ、7割の男性が、「母親の料理」と答えたそうです。理由は、「懐かしい味がする」「食べ慣れている味がする」といった“慣れ”によるものでした。

(アニヴェルセル株式会社 “アニヴェルセル総研” より)

このデータ、みなさんはどう受けとめますか?わたしの場合、相手がプロなので、そもそも「勝てるわけないじゃん!」と開き直っていますが。もしそうじゃなかったとしても、その人の味覚を育てた“おふくろの味”には、敵わなくて当然のような気がします。敵わないことにガッカリするよりも、“おふくろの味”に“よめの味”を掛け合わせ、わたしなりにもっとおいしく進化させる、くらいの気持ちでいたいものです。
子どもの胃袋をつかむ
もし、男の人にとっておふくろの味が絶対なのだとしたら、ターゲットを我が子に移してしまうのもひとつの手です。つかむべきは、男の胃袋より、子どもの胃袋。母親になって、つくづくそう思います。男の胃袋は完成されているけど、子どもの胃袋は今まさに作られている最中。おふくろの味を植え付けるには、今がチャンスです。
子どもの胃袋をつかむ
いずれ子どもが大きくなれば、食べ物でも遊びでも、どこで何を覚えてくるかわかりません。わたし含め、みんなそうやって大人になるものだと思うので、その時にとやかく言うつもりはありません。でも、ファストフードやコンビニ弁当、深夜のラーメンを乗り越え、いつか子どもが味の拠り所を求めるときに、おふくろの味を思い出してくれたら、母親としてそんなに嬉しいことはありません。
そうして思い出すおふくろの味が、ごはんのこと、体のことを大切に考えるキッカケになってくれると信じて、今日もせっせとごはんを作ろうと思います。